[HYDE]ここにある光は全て意味のある光!HYDEソロ「ANTI ファイナル」2年の時を経てファンと共に完成!

HYDEは、天性の才能あふれる感性を持ち、なおも信念までが惚れるに値する。そう感じさせてくれる音楽アーティストが、この人、HYDEという存在なのだろう。

12月7日(土)・8日(日)の千葉・幕張メッセ国際展示場 4・5・6ホールを会場に開かれた「HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL」。HYDEのファンは2days、そのホールを満杯で埋めた。

その中でHYDEがファンに伝えた言葉。“僕は、自分がいいなって思った曲を、誰のためでもなく、自分のために作ってるにすぎません。それを、こんなにたくさんの人が聞いてくれてね、僕の事を好きだって言って、全国から集まってくれる。こんなに幸せなことはありません。俺の人生に悔いはない”。ハードロックに身を包み、攻撃的なライヴを見せるHYDEだが、その内面は知れば知るほど、愛情深く、人ひとりを重んじて大切にするアーティストなのだと知ることになる。ファンはそれを、HYDEらしい、柔らかく思いやりのある言葉だと受け止めたことだろう。

12年ぶりのソロ。2017年12月、それまで9年の活動をしてきたVAMPSに休止宣言が出た。HYDEがファンの前に姿を見せたのは、それからちょうど半年となる2018年6月29日(金)・30日(土)。東京・Zepp Tokyoから始まった「HYDE LIVE 2018」(全国5カ所18公演、ライヴハウス籠城タイプ)でのことだ。最初の2日間はHYDEのファンクラブであるHYDEIST会員だけが参加可能なプレミアムライヴとなり、まずは6000人がHYDEの再始動を、その目に焼き付けた。

HYDEがその時にファンに話したのは、自分は今、“新しい第二形態のHYDE”になるのだということ。“それが受け入れられるのかどうかは解らないけれど”と不安を覗かせながらも、「僕はまだ、守りに入りたくはありません。嫌われたとしても、アーティストがドキドキできないことってつまらない。今、新しいことが始まってドキドキしています。これからもっと凄い景色を見せてやるから、僕に付いてきてください。ここまで来られたのは、この仮面を被ってるサポートメンバー、そしてスタッフのおかげです」と、あいさつを入れていた。その時、傷心しきったように痩せ、今にも消え入りそうな姿でステージに立っていたHYDE。鮮明な記憶で残っているファンも多いだろう。

2019年の今があるのは、HYDEを支えるサポートメンバーが誠心誠意向き合ってくれたことに他ならない。「文句ひとつ言わず、付いて来てくれたサポートメンバーとスタッフに感謝します」、そうHYDEは「HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL」で全ての人に、平等に伝えた。

SNSが急激に発達し、全ての声が漏れ聞こえてくる現代。この2年間のことを言うなれば、HYDEとファンにとっては、“重ねてきた時の歪みを取り除くための時間だった”と言えるのだろう。HYDEが歩んだ音楽アーティストとしての道のり。これまで支え続けたファンと共同作業で創りあげた『ANTI』という世界観。反抗期と捉えるに至った、HYDEとファンとの2年間は今、HYDEとファンに相思相愛の強い絆を結び、互いが互いを思いやれる境地にたどり着いた。ファンありきの自分なのだと、HYDEが示した姿勢こそが、簡単なように見えて実は難しいこと。HYDEが長年一線で走り続けて、慕われる理由の1つなのだろう。“一人残らず、みんなを連れて行ってやるからな!”と、言い続けるHYDEの信念が如実に現れた、ファンとの濃密な2年間となった。

初日となる7日、6時66分(19時6分)、ラストとなる8日は16時66分(17時6分)にスタートを切ったファイナル公演。セットリストは全19曲。数字が映し出された幕間は666の表示と共に落とされ、最終形態のネオ東京がステージバックに姿を現した。夜の闇にネオンが灯る。都会の路地裏、ポリスカーが2台ステージには置かれていた。「This is Neo Tokyo. Welcome to the sleepless city of the far east」とアナウンスが流れる中、ヘリコプターのプロペラ音が大きく響く。ポリスカーの天井に駆け上がり、ステージに姿を見せたモンスター、顔の半面を仮面で覆うHYDEが姿を現した。

ファンはHYDEに追随するようにコーラスを入れ、挙動の息を合わせていく。腕を振り、ジャンプして、楽曲にその身を預けて楽しんだ。1曲目「WHO’S GONNA SAVE US」からシンガロングに沸くフロアは、スタンディングエリアと指定席がアリーナ内に混在し、老若男女、幅広い世代で楽しめる工夫がされた。指定席もステージの始まりに合わせて立ち上がり、ライヴが楽しめる。HYDEのアーティストキャリアは約30年と長い。1人で参戦していたファンも、ファミリーで付き合いの持てる時期へとさしかかっている。2歳ぐらいの小さな女の子を腕に掲げ、ステージを見せているパパ。小学生の子も多く見られた。最初に娘の付き添いで親子参戦していた世代は還暦を迎えたファンも居る。全てが安心して楽しめるライヴ形態。ヘッドバンギングやモッシュが楽しめるHYDEのライヴは、シネマティックな観劇要素も確りと合わせ、静も動も楽しめる完成形へと進化した。障がい者席も毎度設けられている。ハードロックなライヴを、誰もが楽しめる構成で、作りあげるHYDE。ファンの形態を見てエリアを変化させていく柔軟さが、至る所で見受けられ、HYDEの内面の優しさが感じられた。

ポリスカーの上で歌うHYDE

ポリスカーのランプが回り始め「AFTER LIGHT」へ。本領発揮なまでに、激しいライヴへとファンを誘っていく。「FAKE DIVINE」へ入ると、艶のある声を聴かせ、激しくファンを煽っていった。

「ようこそ『ANTI FINAL』へ。今日は楽しみでしょうがない。俺たちが作ってきたよな?『ANTI』は!俺が観たことのない景色を観せてくれるんでしょう?楽しみにしてるぜ!」とフロアを煽る。「INSIDE OF ME」、「DEVIL SIDE」とVAMPS時代の曲も連投した。仮面をゆっくりと外して「TWO FACE」へと。身悶えるように歌い上げる。「SET IN STONE」に入ると、ネオ東京には雨がシトシトと降り始め、数発の銃声が響いた。軍帽を被ったHYDEはオーディエンスを鋭い目つきと緊張感で威嚇して歌う。曲の終わりは銃に見立てたマイクをフロアに向け、左右に流して緊張感を煽ると、その後一変、自らの口に銃口を入れて引き金を引き、その身を葬った。ピアノソロが響き「ZIPANG」へ。日本の四季を彩る情景、銃を持たない国『日本』。侘び寂びの表現も込めた楽曲を浪々と歌い上げたHYDE。数秒の暗転を挟んで、「OUT」へと。HYDEロゴの付いたフラッグを背負い、オーディエンスを挑発。「さぁ、カオスを観せてくれ!芸術的なカオスを観せてくれよ!」と煽り上げた。

「『ANTI』が出て半年。こんだけみんなに愛されるとは思わなかったね。みんなで完成させようぜ!」と、「MAD QUALIA」へとなだれ込む。ハンドクラップがフロアに響き、シンガロングに沸いた。オーディエンスと共にヘッドバンギングを咲かせ、続いたのは「SICK」。ファイヤーボールが打ちあがる中、拡声器を片手にラップを聴かし、スクリーモを飛ばすHYDE。オーディエンスがサークルを作り、楽しそうにモッシュして弾けた。

激しく打ち付けるドラム音から始まった「DON’T HOLD BACK」。HYDEが狂気にも似た金切り声をあげ、苦悩する姿で曲を現す。ステージに這いつくばり、身を横たえて、吠えるように歌う「LION」。鋭い刃が心を突き抜けたよう。叫び、怒り、身もだえて、感情をオーディエンスに突き付けた。

「ANOTHER MOMENT」に入ると、オーディエンスにHYDEが話しかける。「幕張ちゃん!さあ、座ってみようか?おっ!そっち早いね。あっ!椅子あるの?」と、おどけながら、オールスタンディングエリアもフロアにしゃがませた。「じゃあ、いくよ!1.2.3.2.1.Go!」と掛け声をかけると、巨大な幕張のフロアに一斉ジャンプが巻き起こる。ジャンプジャンプでHYDEに応えるファン。約10体のエアダンサー(空気で膨らむ巨大な人型バルーン)が膨らみ、ステージの上で滑稽に踊る。“理性を吹き飛ばし、こいつらみたいにクレイジーになっちゃえよ!”と、一見(いっけん)に訴えかける。続くのは「MIDNIGHT CELEBRATION II」。モッシュにクラウドサーフ、ファイナルらしい盛り上がりでこの曲が始まった。HYDEはステージからフロアへと降り、「芸術的なカオスを見せろ!」と煽って一喝。 「Push it back !!!」との声かけで、HYDEライヴ初となるオールオブデスが起きた。そこからサークルピットへとスタンディングエリアが変貌。HYDEが満足そうにその情景を見て、瞳を潤ませた。

曲の終わり、HYDEはフラッグを勢いよく振り下ろし、ポリスカーのドライバー側ドアガラスを破壊。その後、フロントガラスをぶち壊して、幕間へと姿を消した。

インターバルを挟み、HYDEはフロアサイドの大扉から入場。スモーク銃で白煙をファンに浴びせながら、ステージに戻った。ステージ上に設置された金属製のビア樽を、金属バットで叩き、Slipknot(スリップノット)のカバー曲「Duality」をデスボイスを絡めて歌いあげる。HYDEがギターを掛け、ギターセッションから始める「AHEAD」。ハンドクラップの大波がオーディエンスから沸き起こる。VAMPS時代に見慣れた風景が幕張に戻ってきた。ファンの盛り上がりは佳境へと白熱を見せる。「GLAMOROUS SKY」へと続き、大合唱で共鳴を見せるオーディエンス。HYDEは顔をほころばせ嬉しそう。マイクを長い間フロア側に向け、曲をオーディエンスに任せてその声を聴いた。

HYDEを支えるファンの温かい手

HYDEがラストのMCを入れる。「ありがとう! 最高だね!すごく良いものを見せてもらった。もう、本当に君たちがかわいくてしょうがないよ…。ここで2年前にVAMPSが終わってね。もっともっと理解してもらおうと、気持ちを込めてレコーディングをして、アルバムを作って。みんなと一緒に走ってきたね。ライヴは150本くらいはやったんじゃないかな…」とファンに話す。ポツリ、ポツリとスマートフォンの明かりが灯り始めるフロア。それを見つめながら、HYDEが話しを続ける。

「本当にいい眺めだよ。ただの光じゃないんだよね…。これは、全部意味のある光なんですよ。僕の大切な人の光です。良き理解者のね」と言って、瞳を潤ませた。「僕は好きな曲を作って、レコーディングをして、カッコいいと思うライヴをやっているだけ。だけど、150本ものライヴをしようと思うと、理解者がいないとできません。みんなが居てくれるから、僕がここに居られる。ここに居るサポートメンバーが、文句1つ言わず僕を支えてくれて、ここまで来られました。本当に感謝しています。みんなも、日本中から駆け付けてくれていて、本当に嬉しいよ。今日はファイナルだけど、どんどん新しい曲を作って、みんなと共有したいと思っています。ここまで来られたら、後は突っ走るだけだと思っています。ただ僕は、そんなに強くないんでね。みんなの援護がないと走れない…。みんなが援護してくれるなら、僕は真っ暗闇の中でも、絶対に何かを掴むから! 期待して待っていてください。本当にみんな、今日はありがとう」と伝え、Duran Duran(デュラン・デュラン)のカバー曲「ORDINARY WORLD」に繋げた。 穏やかで温かい声色で歌うHYDE。これまで、普通の日常こそが幸せなことだと伝え続けてくれた。この約150本のライヴは、紛れもなくファンと作り上げた日常。怒涛のライヴ本数を終えるHYDEが、見守る側でさえ目もくらむほどのライヴ本数だったこの2年間のHYDEが、サラリとファンに伝えてくれたことは、“これが俺にとっての普通の日常”なのだと言うこと。このクールを共にできたファンは、一人残らず“幸せ者”だと思う。

終わりの日にHYDEが伝えてくれた、“新しく始まる続き”のシーンに期待をして待ちたい。

ファイナルで見せたHYDEの「えいやっ」。挑戦の旅は新たなるステージへと進みだす

SETLIST

01. WHO’S GONNA SAVE US
02. AFTER LIGHT
03. FAKE DIVINE
04. INSIDE OF ME
05. DEVIL SIDE
06. TWO FACE
07. SET IN STONE
08. ZIPANG
09. OUT
10. MAD QUALIA
11. SICK
12. DON’T HOLD BACK
13. LION
14. ANOTHER MOMENT
15. MIDNIGHT CELEBRATION II
16. Duality
17. AHEAD
18. GLAMOROUS SKY
19. ORDINARY WORLD

投稿者:

HYDE Fan Site

世界で活躍する日本の音楽アーティストHYDE。その活動を中心に情報をまとめています。HYDE(Vo)のソロ、ロックバンドL'Arc-en-Ciel(Vo:hyde)、HYDEがコラボレーションさせてもらった各楽曲情報なども掲載します。 [HYDE バイオグラフィー] L’Arc~en~Ciel(ラルク アン シエル)のヴォーカリスト。 L’Arc~en~Cielとして、これまでに42枚のシングル、12枚のオリジナル・アルバムをリリース。国内外で幅広い活動を展開し、結成20周年となる2012年には、バンドとして過去最大規模のワールドツアーを敢行、日本人アーティスト初となるニューヨークMadison Square Gardenでの単独公演、ロックバンドとして初の国立競技場公演を行ない、ライヴにおける国立競技場史上最大動員数を記録成功させるなど、海外11都市で10万人以上の観客を動員、日本公演も含む動員数は45万人を超えた。 HYDEソロ名義では、フィジカルシングル20枚、デジタル配信シングル16枚、MY FIRST STORY×HYDEコラボレーションシングル1枚、オリジナル・アルバム6枚、ベスト・アルバム1枚、ライヴDVD / Blu-ray5枚、ミュージックビデオ/DVD1枚をリリース。 2008年から2017年はロックユニットVAMPS(ヴォーカルHYDE)として、シングル12枚、配信シングル1枚、オリジナル・アルバム『VAMPS』『BEAST』『BLOODSUCKERS』『UNDERWORLD』、ベスト・アルバム『SEX BLOOD ROCK N’ ROLL』、LIVE DVD 11枚、LIVE Blu-ray 6枚をリリースした。 2018年より、HYDEソロ活動を本格的に再開。2019年は96本(アメリカ春・秋、日本夏・冬)のライヴをこなした。コロナ禍になっても日本の音楽業界を担って精力的に活動。2022年のHYDEソロライヴでは日本政府の実証実験対象公演も無事に勤めあげミライの音楽シーンに繋げた。現在、HYDEソロ活動とL’Arc~en~Ciel、そして1年としたTHE LAST ROCKSTARSの活動をYOSHIKIの首の手術後のドラムリハビリに付き合うとして2023年を進行中。